COCCOのライブへ行く。あまりにも思い入れがありすぎて、彼女の音楽についてうまく語れる気がしないし、語ろうとする気もおきない。あのころ彼女の音楽に自己を同一化していた。うまく距離をとろうとして、ずいぶん長い間、聴こうとしなかった。いや、違うな、想いの奔流を押しとどめることが難しくて聴くことができなかったんだと思う。
そして今日、相も変わらず彼女の音楽は素晴らしかった。バックバンドも素晴らしかった。ステージの熱気が伝わってくる席だったからなおさら。以前同じ武道館で見た彼女よりずっと自由で幸せそうだった。私は高校生のときにみた、ライトがくっきりと浮かび上がらせたワンピース姿の彼女をはっきりと覚えている。ただ眩しかった。あの眩しさがずっと胸の奥のほうに残っていた。今日の彼女も眩しかった。ライトが血のように赤くなろうが祝福するように水玉模様を描こうがすべてを許すように白を横溢させようが彼女ひとりをスポットで照らし出そうが、彼女の姿は浮かび上がり目に焼きついた。ただ以前と違うのは眩しさに、胸の痛みが、どうしようもないほどの胸の痛みが同居していたということだ。あの眩しさに、ちっとも追いついていない。