後輩の就職活動にアドバイス。いつも私などよりよほど努力してすばらしいエピソードをもつ学生たちへ、恐縮しながらも偉そうに指導しているのだ。刺激を受けることも多いし、トークの練習にもなるのでややアンバランスなギブアンドテイクと思いながら最近よく行っている。
だが今日の彼は、ほとんど例外的なまでの問題児だ。彼のことはすでに良く知っていので、どちらかといえばうんざりとした気分で待ち合わせ場所に向かうことになった。
予想どおり、的の外れた発言ばかり。そんな自分の未熟さだけは痛感している彼は萎縮していた。
包み込むように接するほどには堪え性がない私は、厳しい言葉を連発したと思う。

だが、彼において、ただひとつだけすごいと思えたのは、その厳しい指摘をきちんと受け止めていたこと。
「君の弱点はバレバレだ」「表面的につくろっているのもバレてる」
「でもその弱さを正直にさらけ出せば、それはきっと面接官に刺さる」
「そこからしかはじまらない」「それだけ悔しいのなら、その弱点に対してどんなふうに努力して克服しようとしているのか、語れるよね?」
彼は必死に食い下がって、本質の周辺をふらついた言葉を見つけてきた。
逆転してみろよ、周りを驚かせてみろよ。ほとんど丸腰に見えて、最高の武器を手にしているのかもしれないぜ。