デカルト『方法序説』を読む (岩波セミナーブックス)

デカルト『方法序説』を読む (岩波セミナーブックス)

デカルト方法序説の面白さが分かってきた。たしかに方法序説は難しい本ではないけれど、書かれていないたくさんのことや、時代背景を知ってから読んだ方が断然いい。
・物質と精神の二分法とそこでの精神の優位を広めたという理解が、デカルトになされている。実際にはそんな単純に言い切ることはできないのだけれど、少なくともこの考え方はデカルト主義と呼ばれ批判が多い。でも、この二元論は、どうしても現代に至るまでには通らなければいけなかった通過点だった。
・個人的に、彼のバイオグラフィーも興味深い。大学卒業と共に学問と別れ、「世界という書物」に飛び込んでいくような、思考と行動の一致が彼の人生に見られる。炉部屋での思索は、淋しいなあと思うと同時にうらやましいなあとも。
・現代哲学の中での位置づけは役立つ。哲学初心者なので。神の存在論的存在証明がレヴィナスにおいて他者概念規定と結びつけたり、ラカンにおいて懐疑が到達するのがコギトではなく「自己の不在」であるとされた点などが面白い。